エピソード4(ANH) Obi-Wan Kenobi Lightsaber
2005/10/23更新

 ANHにおけるオビ=ワン・ケノービのライトセイバーは、多種多様な材料を集合させて作られている。
 がしかし、現存する資料が少なく、映像からも読みとれる情報は少ない。
 そのため謎が多く、もっともセイバーマニアを悩ませ、かつ魅了するセイバーである。

 95年10月発売の超豪華本「スターウォーズ・クロニクル」(武田英明氏・高橋清二氏著)に掲載の写真。
 上は出自不明。

 下は98年9月に発売されたCD-ROM「BEHIND THE MAGIC」や、99年7月発売のスティーブン J. サンスイート氏著「スターウォーズ エンサイクロペディア」などに掲載されている写真。

 小さな写真しか存在しないため、解像度が低い。

   柄頭(pommel,ポンメル)の部分は、アーミテージ・シャンク(Armitage Shanks)というイギリスのメーカーの水道のハンドルであるということが確定している。

 2005年8月末、RPF(Replica Props Forum)に、Howard氏によって、アーミテージ・シャンク社製の古い水道のハンドルの写真が投稿され、大勢のRPFメンバーによる検証の元、ANHオビ=ワンセイバーの柄頭と同一の物であると確認された。
photo by Howard
 アーミテージ・シャンク社は現存しており、現在でもANHオビ=ワンセイバーの柄頭に酷似した製品(左写真)を販売しているため、以前からこのパーツは「ASハンドル」という名称で呼ばれる事も多かった。

 しかしながら6つのブロックの形状なども多少現行のASハンドルとは異なるなど細部に相違点も多く、ANHオビの柄頭そのものでは無いため、長い間、真にANHオビ=ワンセイバーに使われた元のパーツは謎のままだった。

 現在同社から販売されているこのハンドルは、樹脂製メッキ塗装仕上げであり、温水・冷水を表す赤または青のリングがはめ込まれている(リングは取り外し可能)。
↑現行のASハンドル


こちらが、実物プロップに使われた古いタイプのASハンドルである。頭頂部には温水・冷水を示す"h""c"の文字があり、赤色もしくは青色のプラスチック製リングがはめこまれている。それ以外は完全に両者とも同一である。

 どちらのタイプがプロップに使われたのかまでは、確認できる写真や映像がないため不明。
photo by Howard
 外装パーツにある切り欠き(左下写真矢印部分)まで完全にプロップと同一である。

 水栓にボルトで固定するパーツ(色リングがはめ込まれているパーツ)は金属製だが、その他の部分はプラスチックにメッキ塗装。

 この古いタイプのハンドルは大変貴重な品で、現在ほとんど見つかっておらず、オークションにかけられた場合、軽く十数万円の値が付けられる。



 なお、これらの貴重な写真を転載するにあたって、発見者のRPFメンバーHoward氏から快く許可をいただいた。ありがとうございます。
(Thanks to Howard for his permission to re-post these excellent pics on this site.)

photo by Howard

 柄頭の上にあるひだ状の部分は、第一次世界大戦中に製造された、7.7mm(0.303インチ)口径ブローニング機関銃の銃口につけるアタッチメントの放熱フィンであることが、2005年10月に確認された。

 この銃はイギリス軍が対空砲座などによく用いたもので、計46万丁以上生産されている。

 また、デススター表面に配置されている砲にもこの銃身が用いられている。

 中央バンド部分は、ANHおよびESBルークでおなじみのGRAFLEXカメラフラッシュのクランプが転用されている。2つの突起は古いタイプのトランジスターである。ラベルから「N2」というメーカー名らしきもの、「MAM」「NPN」などのトランジスタの形式を示す文字が読み取れるが、全く同じものは発見されていない。

 ちなみに「MAM」というのはイギリス製トランジスタであることを示す型番の最初の3文字で、「NPN」というのは、ベース-エミッター型トランジスタを示す文字。

 また、ANHルーク、ANHベイダー、ESBベイダーと同じく計算機のバブルレンズがクランプに差し込まれている。

 黒い蛇腹状の部分は、第1次大戦中イギリス軍が使用したMK3 No Iグレネードだと言うことで間違いないと言っていいだろう。
 このグレネードは軍用ということで、本物にも個体差やバージョン違いがあり、なかなかプロップと完全に同じ形状のバージョンが手に入らない。各プロップディーラーは、それぞれ入手したグレネードを元にこのセイバーを作成してはいるが、いまだプロップのレプリカとして完全な決定版といえる物が見あたらない。

 

エミッター(放射口)の部分も長い間複数の説があり、
・ガスバーナーのノズル
・スプリンクラーの部品
・流しの排水溝の部品
というのが主だったところだったが、2005年9月末、古いロールスロイス製航空機用ガスタービンエンジンの部品であったことがほぼ確定した。

 右もSTARWARS CHRONICLESより。

 これは、1949年頃から生産された、ロールスロイス製Derwent Mk8およびMk9エンジンの燃焼室圧力平均化コネクターの断面図である。この一部分がANHオビ=ワンセイバーのエミッターそのものである。

 ちなみに、生産当初のMk8エンジンの場合、多少形状が異なっており、途中改良され、換装されたMk8エンジン、あるいはMk9エンジンのパーツが、プロップ製作に使われた物と同一の物になる。

 ANHオビ=ワンセイバーの資料は非常に少ない。スチール写真資料がほとんど無いのだ。Chronicleに載っている4点のカット及び……
   出自のわからないこの写真、
 ミリオン出版「SFヒーロー まぼろしの冒険伝説」に掲載のこの画像しか見あたらない。どなたか他にお持ちの方、ぜひ提供して欲しい。

 貴重な右の写真だが、一番上のクロニクルの写真に比べると、ウインドヴェインの位置が柄頭寄りになっており、エミッター寄りのトランジスタに、もう一方のと同じようにワッシャーがはまっている様に見える。(ちなみに上の出自不明の写真にもワッシャーがあるように見える)

 また、クロニクルver.には、そのワッシャーがかつてあったような円形の痕跡が、グラフレックスのクランプの表面に見て取れる。
画像提供:ARTOO氏

 テクニカル・ジャーナル(ソニーマガジンズ刊)に掲載されているブループリント。トランジスタがネジになっていて1個しかない上に、蛇腹部分がROTJルークの様になっているおかしなセイバー。