Master Replicas製ROTJルークセイバー USAorCHINA問題について |
2002/09/20 byぴろいし |
ICONS社倒産後の、初のオフィシャルセイバーを制作するメーカーの登場と言うことで、期待の持たれていたMaster
Replicas社(以下MR)であるが……。 何か商品をリリースするたびにそのいいかげんな商法と製品の出来に関して議論が巻き起こり、消費者の不信を買っている。 中でもエピソード6版ルーク・スカイウォーカーセイバーに関してのライトユーザー間での騒動は、初のセイバーリリ−スでもあったせいか、白熱した物だった。 詳しい経過は省略するが、限定生産数2500本の内、300本ほどがMade in USA(以下U製)であり、残りがMade in CHINAで(以下C製)、両者の間には無視できない差異が存在する。またこの事実は、「ルーカスフィルムから撮影に使われたプロップの提供を受け、コンマミリ単位までの正確な計測を行い、可能な限り忠実なレプリカを作成した」というMRの売り文句にウソがあることを示す物でもある。 ざっと両者の違いを挙げると、 ・全体的にC製はマット調のくすんだ表面仕上げであり、U製は光沢のある仕上げになっている ・蛇腹状の各銀色の部分の幅がC製の方が広い ・蛇腹状加工部の切れ込みの角度が異なる ・コントロールボックスの幅が異なる ・柄頭(ポンメル)の台形状部分の大きさが異なる ・ネジ穴のテーパーなどに仕上げの精度の違いが見られる ・エミッター(照射口)の穴の大きさが異なる では、この製品は、セイバーファンにとってどのような位置付けになるべきなのか、事実を踏まえて論じていくことにしよう。 ROTJルークには多数のバージョンが確認されているが、この製品は、その中でも最も大きく鮮明な写真が残っている、いわゆる"HERO1"バージョンを元に制作していると見て間違いない。MRのアナウンスによると、「全部で4本のプロップの提供を受けた」そうだが、これはこの際意味がない。 まず客観的に見て、本物のプロップには「どちらも似ていない」。 UとCの差にこだわるようなレベルで考えるなら、写真を見比べる限り「似ていない」と言う他ない。 U製C製ともに蛇腹部分の形状は再現しておらず、この部分はU製の方が似ているが、こっちはC製の方が似ている、というような点がいくつか見受けられるからである。 MRルークは、ルーカスフィルムが考える「本来あるべきデザイン」を形にするために、プロップをリファインし、出来るだけ美しく仕上げた「レプリカ」だと考えるのが自然だろう。 造形物としてのプロップはさておき、「これが本物ですよ」というお墨付きを付けられたもの、それがMRルークであると言える。 ある人から「プロップには柄頭にライセンスの文字なんか入っていない」という言葉を聞いた。普通の人が聞くと「何を当たり前のこと」をと面食らうかもしれないが、言い得て妙の名言である。 あの文字は、この品が公式な「商品」として発売された物であることを表したものであり、マニアが求める限りなく本物に近い「プロップの複製」では無いことを如実に示している。 限りなく完璧な複製を作るのならあの文字はいらない。MR製であることを示すだけなら、分解したときに露出する部分にでも入れればいいのだ。(ちなみにフェイク品防止と言えるほどの精度はあの文字にはない) MRは、本体を見るだけでMR製品であることがわかるように仕上げる方針を取ったのだ。つまり限定数2500本という購入者の内訳を、完璧な複製であることよりも蛇腹の不揃いを気にするような、ある程度のライトユーザーが多くを占めると分析したと言える。 無論ここには、制作コストや宣伝効果、我々一般ユーザーが想像し得ないような様々な要素が絡んでの事なのだろうが。 MRの姿勢には様々な疑惑が生じている。それを分析するのは多分に推測の部分が入らざるを得ないため、それらについて語ることはしない。 代わりにここに、MRの日本総代理店であるHollywood Collector's Galleryを通じて発表されたMRのコメントを掲載しておく。ここから様々なことが読みとれる。 Yahoo!オークションを見ていると、世間のU製に対する価値観はかなり高かった。 最近では単純に数の問題で見かけることはないが、2002年6月の発売直後はU製がヤフオクにいくつか出ていた。C製はほぼ定価の5万円前後で取引されていたが、U製は9〜10万円近い値が付いていた。 本質を見極めることなく、「希少価値」というなんだかよくわからない要素で値段が跳ね上がっていくのを非常に腹立たしい思いで私は見ていたものだった。 U製とC製の見た目の差は好みの問題以上の物ではありえない。 撮影に使われた造形物の複製としては、どちらもほぼ等価だ。(どちらも似ていないから) 両者の差は、オフィシャルレプリカとしての制作数の差でしかない。 (「オフィシャルレプリカ」という言葉と「造形物の忠実な複製」という言葉とでは意味に差があることをよく考えてみて欲しい) また、アナウンスを信じるなら、U製は、制作の遅れから生じた物であることも、考慮に入れる必要がある。 以上をふまえた上で、U製に希少価値を感じて高額を投入するかはまったく個人の自由だが。 私にとっては単なる話のネタでしかない。 なにしろ個人的にはMRルークは全く購入予定がなかったし、私の周囲のディープなセイバーファンは、みなこの品に必要以上の興味を示していなかった。U製C製の騒ぎの際にも、特徴を確認した後は「議論の価値無し」ということでまったく日々の会話の話題に登らなかったのだ。 なぜか。MRの前身にプロップメーカーS.D. STUDIOSがあるのは周知の事実だが、ここから過去、ノンライセンス物としてROTJルークもリリースされていた。 発売時期によって、ディテールの異なるバージョンがいくつか確認されているが、MRに転身する直前にリリースされた同最終バージョンは、刻印が無い上に、ほぼMR製と変わらない品だった。それも200数十ドルという安価な値段だったのだ。 |